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2010.05.19

【社労士】労働者災害補償保険法 > アスベスト災害/泉南アスベスト訴訟、国が敗訴 賠償命令(20100520)

アスベスト:大阪・泉南訴訟 判決要旨 2010/ 5/20 毎日jp

 泉南アスベスト訴訟で19日、国の責任を認めた大阪地裁判決の要旨は次の通り。

 《石綿関連疾患についての医学的、疫学的知見の集積時期並びに、国が石綿被害への対策の必要性を認識した時期》
 (1)石綿関連疾患の医学的、疫学的知見は、石綿肺については1959年に、肺がん及び中皮腫については72年におおむね集積された。国はそれぞれの時期において、石綿肺、肺がん、中皮腫が石綿粉じんの長期、大量の暴露によって生ずると認識するに至ったのであるから石綿粉じんの職業暴露を防止する必要性を認識したと言うべきである。
 (2)戦前の保険院の調査結果は、初めてのデータとしては意義があったが、医学的、疫学的知見は仮説にとどまっており、47年に医学的知見が確立していたという原告らの主張は採用できない。

 《60年の時点における石綿肺防止のための国の省令制定権限不行使の違法性》
 (1)労働大臣は、59年には石綿肺の医学的、疫学的知見が集積され、相当重大な被害が発生していると認識するに至ったのであるから、石綿被害の防止策を講ずる必要性を認識していたと言うことができる。従って、旧じん肺法が成立した59年までに石綿粉じん暴露防止策を策定することが強く求められていたと言うことができる。使用者(企業側)としては措置を講ずるために人的、物的、経済的負担を負うが、それを理由に労働者の健康や生命をないがしろにすることはできない。
 (2)石綿粉じん暴露の防止策である局所排気装置を設置する技術的基盤はあり、粉じん測定機器もあった。石綿を扱う作業場に局所排気装置の設置などを義務付ける省令を制定しておけば、その後の石綿被害の拡大を相当程度、回避し得たと推認できる。
 (3)しかし、労働大臣はこの時点で省令を制定せず、その後、71年に「特定化学物質等障害予防規則」(旧特化則)で石綿を扱う作業場に局所排気装置の設置を義務付けるまで設置の義務付けをしなかった。そのため石綿産業の急成長のもとで石綿粉じん暴露による被害拡大を招いた。そうすると、労働大臣が旧じん肺法制定時までに省令を制定、改正して、石綿被害を防止する措置を具体的に義務付ける規定を置かなかったのは、旧労基法の趣旨、目的に照らし、不行使が許される限度を逸脱して著しく合理性を欠き、違法であったと言うべきである。

 《72年時点における国の省令制定権限不行使の違法性》
 (1)石綿被害の医学的、疫学的知見は72年におおむね集積された。粉じん測定機器も実用化され、一般の事業場で日常的に石綿粉じんの濃度を測定することが可能になった。
 (2)旧特化則で石綿を扱う屋内作業場には、石綿粉じん濃度を測定し、記録を保存することが義務付けられたが、その後の労働安全行政に活用するために測定が実行されることを担保する措置として、測定結果の報告と改善措置を義務付けることが必要だった。これらの措置を義務付けなかったことは、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くもので違法であったと言うべきである。

 《環境関係法における規制監督権限の不行使と立法不作為を理由とする国家賠償責任の有無》
 石綿被害は労働者だけでなく、一般環境上の問題としてとらえるべきとする医学的、疫学的知見が89年までに集積されていたと認めるに足りる証拠はないから、国に違法があったとは言えない。

 《情報提供権限の不行使と情報提供義務違反を理由とする国家賠償責任の有無》
 国は60年ないし72年において、労働関係法における国の省令制定権限の不行使が著しく合理性を欠くものだったと言うべきであるから、国民に対する石綿被害と危険性に関する情報提供を怠ったと言わざるを得ない。ただし、これは省令制定権限の不行使の違法の一要素として評価すべきものである。

 《省令制定権限の不行使と石綿被害による損害との因果関係》
 60年から72年までの時点では、石綿粉じん暴露と石綿肺との関連性は知見が集積されていたが、肺がん、中皮腫などの発症と関連性があるという知見は集積されていなかった。また、72年以降も石綿粉じん暴露と、びまん性胸膜肥厚との間に関連性があるという知見も集積されていなかった。しかし、いずれの疾病も石綿粉じんの職業暴露による健康被害というもので足りるから、60年以降の石綿粉じん暴露により生じたと認められる場合は国の省令制定権限不行使を理由とする違法と、これらの疾病は因果関係を肯定すべきである。

泉南アスベスト訴訟、国に賠償命令…大阪地裁 2010/ 5/19 YOMIURI ONLINE

 大阪府南西部の泉南地域にあるアスベスト(石綿)紡織工場の元従業員や近隣住民ら29人が「健康被害を受けたのは、国が危険性を知りながら規制を怠ったため」として、国に総額9億4600万円の損害賠償を求めた泉南石綿訴訟の判決が19日、大阪地裁であった。
 小西義博裁判長は「国は1960年の旧じん肺法制定までに、工場に排気装置の設置を義務づける規制を怠った」などとして、元従業員や遺族計26人に総額約4億3500万円の賠償を命じた。近隣住民の請求は棄却した。
 石綿被害を巡って国の不作為責任が認められたのは全国で初めて。
 原告は39年から2005年までの間に工場で働いていた当時の従業員、その遺族、工場の近隣住民で、石綿肺や肺がん、中皮腫などの症状を訴えている。
 訴訟では、国が石綿による健康被害を知った時期などが争点となった。
 判決はまず、石綿粉じん吸入と石綿肺との因果関係について、「1956年から59年にかけて旧労働省が実施した労働者に対する健康診断で、石綿肺の被害が明らかになった」とし、「国は工場での被害防止措置を講じる必要性を認識した」と認定。「国が旧じん肺法制定(60年)までに、粉じん飛散を防ぐ排気装置設置を義務づけなかったのは違法」と判断した。肺がんと中皮腫における危険性の認識時期については、「72年頃には知り得た」とした。
 国は省令で71年に排気装置の設置、翌72年には、定期的に工場内の石綿粉じん濃度を測定することなどを義務づけたが、「測定結果の報告、改善義務を課さなかった」と指摘、違法状態が続いたと結論づけた。
 賠償額は、原告1人当たり2750万~687万円と算定。59年以前に仕事を辞めた1人への賠償は認めず、近隣住民らについても請求を退けた。
 国は、責任の程度について「仮に不作為があったとしても、一次的な責任は企業にある」と賠償の減額を求めていたが、判決は「国は企業と共同不法行為の関係にある」とした。
 石綿被害で国の責任を問う裁判は、建設労働者388人が国と建材メーカーに賠償を求めた「首都圏アスベスト集団訴訟」が東京、横浜両地裁で係争中。神戸地裁でも、兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場周辺の住民らの遺族が提訴している。
 厚生労働省・石綿対策室は「厳しい判決。今後の対応は関係機関と協議して決めたい」とコメントした。

 ◆判決骨子◆
 ▽旧じん肺法が成立した1960年までに、国が石綿粉じん抑制措置を義務づけなかったのは違法。
 ▽肺がんや中皮腫発症との関連が明らかになった72年に、国が石綿粉じん濃度の測定結果の報告などを義務づけなかったのは違法。
 ▽これらの違法行為と、60年以降の石綿関連疾患には、相当因果関係がある。
 ◇泉南石綿訴訟=泉南地域では1900年代初頭から石綿紡織業が発展。最盛期は200以上の工場があった。2005年、クボタ旧工場の周辺住民の被害が明らかになったのを受け、弁護団が泉南地域でも被害実態を調査し、06年5月に提訴した。その後、相次いで訴訟を提起し、現在の原告数は46人。この日の判決は、08年8月までに提訴した29人が対象となる。

石綿損賠訴訟、国の不作為判断焦点 19日に地裁判決 2010/ 5/18 日本経済新聞

 国がアスベスト(石綿)対策を怠ったために健康被害を受けたとして、大阪府南部の泉南地域の石綿紡績工場の元従業員や周辺住民らが国に損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、大阪地裁で言い渡される。アスベスト被害を巡って国の不作為を問う訴訟は、東京、横浜、神戸の各地裁でも係争中。近年の訴訟では今回が初めての判決で、判断が注目される。
 最大の焦点は、国の責任をどう判断するか。国が有害性を認識した時期や、企業への規制など対策をとるべき時期が争点となっている。
 原告側は1937~40年に旧内務省が実施した泉南地域での調査で「国は石綿の有害性を認識していた」と指摘。「遅くとも旧労働基準法が制定された47年には規制できたのに怠った」と国の不作為の責任を主張する。
 これに対し、国側は旧じん肺法成立(60年)までは医学的知見が不十分だったと強調。アスベスト発散源への排気装置の設置義務化(71年)など「必要な措置を取っていた」と反論する。
 また、健康被害を訴える工場周辺の住民を救済対象に含めるかどうかも注目される。
 泉南地域で国賠訴訟を起こした原告は計46人おり、19日の判決の対象は2006年5月に提訴した元従業員や住民、遺族ら29人。被害者1人あたり3300万~4400万円の賠償を求めている。
 【関連記事】「【社労士】労働者災害補償保険法 > アスベスト災害/損害賠償訴訟 163人が追加提訴へ(20100307)」 / 「石綿被害訴訟で原告側が早期救済訴え 第1回口頭弁論  2008/ 7/23 NIKKEI NET」 / 「「石綿」首都圏でも提訴 2008/ 5/16 YOMIURI ONLINE」 / 「首都圏の建設労働者ら200人、アスベスト訴訟原告団結成 2008/ 3/ 2 YOMIURI ONLINE」 / 「「石綿で被害」43人、神奈川も賠償提訴 2008/ 7/ 1 YOMIURI ONLINE

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