労働組合、女性の出番 2008/10/31 YOMIURI ONLINE
子育て体験訴え「成果」 新たなやりがいに
労働組合に女性の参画を促す動きが出ている。女性の委員長や執行委員が誕生し、会社との交渉に臨むだけでなく、夜型の会議を昼に変えるなど、従来の組合活動を見直す原動力になっている。組合を通して社内外のネットワークを培い、やりがいを感じる女性も多いようだ。
◆社内外にネットワーク、新たなやりがいに
京王百貨店労働組合(東京)は、中央執行委員長の横山陽子さん(46)ほか、18人の中央執行委員のうち5人が女性。「女性が多い職場で、短時間勤務や契約社員など働き方も様々。それぞれの権利代表が交渉の場に出て、生の声を伝えることで、要求の説得力が増した」と横山さんは話す。
2年前から執行委員になった片山智加子さん(42)は、子育てのために短時間勤務を選択している。自らの体験を基に、会社の子育て両立支援策を充実させたくて、執行委員を引き受けた。「当時は、子どもが小学校就学前までしか、短時間勤務ができなかったからです」
保育園は、午後7時半まで延長保育を頼めたが、小学校の放課後クラブの迎えは午後6時。娘の小学校入学を控え、繁忙期の営業時間は午後8時半までという勤務では、仕事を続けるのが難しかった。
「周りにも同じように『小1の壁』に悩む人が多かった。経験を積んだ人材が辞めざるを得ないのは、会社にとっても損失だと思う」と片山さん。そのことを会社に訴え、段階的に小学校3年生までの短時間勤務を認める回答を引き出した。
短時間勤務の片山さんが参加しやすいように、組合側も運営方法を見直した。従来の執行委員会は、勤務時間が終わった夜に開いていたが、ランチ・ミーティングなど昼の時間帯に変更。討議資料を事前に電子メールで各自に渡し、短時間で濃密に論議が交わせるよう工夫した。年間でスケジュールを組み、泊まりがけの討議の日程など予定を早めに立てやすいように配慮もした。
同組合中央書記長の永田幸靖さん(42)は「多様な働き方にあわせた結果、会議の運営が効率的になり、委員の出席率も上がった」と言う。
男性が多い職場でも女性委員長がいる。ヤマト運輸労働組合中央執行委員の小林範子さん(40)は、組合員1000人の厚木支部の委員長だ。運輸業界全体の女性組合員の割合は3%だが、産別の運輸労連で女性特別中央執行委員も務めている。
組合に入ったのは「気の強さを見込まれたから」と笑うが、交渉の場に出て改めて「賃金や待遇など、組合員の生活にかかわる重要な仕事を担っている」と痛感した。
何より、活動を通して、社内にネットワークができたほか、他の組合の女性幹部とも知り合ったことが自分のプラスになったという。小林さんは「視野が広がった。プライベートの時間は減ったけれど、後に続く人には『自分の勉強のためにやろうよ』と言っています」と強調する。
役員の比率は横ばい
日本労働組合総連合会(連合)によると、2007年の全組合員(675万人)に占める女性の割合は30%で、ここ数年微増している。一方、女性の役員比率は6.9%で、00年以降、ほぼ横ばいの状態が続いている。
連合では、男女平等参画推進計画を策定し、組合員比率に応じた役員の参画を促しているが、山口洋子副事務局長は「男性社会の壁が残っている」と指摘する。女性リーダーの育成やネットワーク作りを進めるほか、組合側の意識改革も図り、「長時間労働や非正規雇用の増加など今の働き方を見直すためにも、女性がより一層参加しやすい組合の仕組みが必要」と話している。
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【コメント】組織率低下が伝えられる中、待遇改善を掲げ新たに組合を結成する動きも多く報じられるようになってきている。従来と異なる労働組合の活動が、今後多く観られるようになるのは確かだろう。